食物からの栄養分が胃や小腸で消化・吸収されると、その残りかすは大腸へ運ばれて便となります。そして、便は腸管から直腸へ運ばれて、やがて肛門から排出されて行きます。
そして、このときに水分の摂取量が足りていれば便が硬くなることはほぼなく、スムーズに体外へ排出されて行くことになりますが、
水分の摂取量が足りているのに、なぜか便秘になってしまうというケースも少なくはありません。
水分は取っているのになぜか便秘…原因は何?
それでは、水分をしっかりと摂っているのに便秘になってしまう、その原因について考えてみることにしましょう。
様々な便秘の原因
1.水分のチョイスが間違っている
見落としがちな部分ですが、便をスムーズに排出させるための水分はどのような種類でもいいということではありません。
あなたが現在摂取している水分、それはカフェインが多く含まれている水分ではないでしょうか?
カフェインには利尿作用があるため、大量に摂取するとトイレの回数が増えます。
そして、これはこれでむくみの予防や改善には役立つのですが、体内の水分の多くが尿となって体外へ排出されるため、
スムーズな排便に必要な水分が腸内に届かない状態になっている可能性があります。
カフェインは、コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶などに多く含まれていますので、
1日の中でこれらの水分摂取が多い方は、水やノンカフェインの飲み物に切り替えてみましょう。
2.食物繊維の摂取が不十分
食物繊維には水溶性と不水溶性があり、どちらも便秘の予防にはなくてはならない成分です。
水溶性食物繊維は便を軟らかくする働きが、不水溶性食物繊維には便のカサを増やす働きがありますので、
どちらか一方の摂取量が多すぎても少なすぎても便秘になることがあります。
食物繊維は野菜全般、キノコ類、コンニャクなどの食品に多く含まれていますので、できるこれらの食品を積極的に摂取することを心がけてみましょう。おすすめは、水溶性と不水溶性食物繊維がバランスよく含まれている押し麦です。
食品から食物繊維をとるのが難しいのであれば、顆粒状や粉状のファイバーを飲む、食物繊維サプリで対応するなどの工夫を行ってみると良いでしょう。
3.腸内フローラの乱れ
腸内には善玉菌と悪玉菌が存在し、お互いにバランスを取り合いながら腸内環境を整えています。
ところが、何らかの拍子に悪玉菌が一気に増えてしまうと、善玉菌がどんどん死んでしまって腸内フローラに乱れが生じることがあります。
そしてその結果として便秘が起こります。
腸内フローラを正常に保つためには、「乳酸菌」や「オリゴ糖」の力を借りるのが最も賢い方法ですので、これらの成分を含む食品の摂取に努めてみましょう。
乳酸菌はぬか漬けやキムチ、ヨーグルトなどに多く含まれ、オリゴ糖は大豆製品や玉ねぎ、ゴボウ、ニンニク、バナナ、はちみつなどに多く含まれています。
4.ダイエット
ダイエット中には、どうしても食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖といった便秘の予防に必要不可欠な成分が不足しがちです。
これを防ぐためには、低カロリーであってもしっかりとこれらの成分をとって行くしかありません。
また、極端な食事制限でそもそもの食事量が少なすぎる場合では、便になる材料が少なくなり、これが便秘を誘発することもあります。
ダイエットというと食事の量そのものを減らすことに神経を傾けてしまいがちですが、
キノコやコンニャクなどは低カロリーですので、調理法にさえ注意すればダイエット中でも安心して摂取できる食品です。
しかも、量を食べることができますので、便の材料を作り出すという部分で考えてみても、非常に便利な食品だということがわかります。
ダイエット中の食べ過ぎはもちろん厳禁ですが、キノコやコンニャクであればカロリーが跳ね上がる心配がありませんので、
ダイエット中には積極的に取り入れる工夫を行ってみましょう。
5.筋力の低下
加齢や運動不足などによってお腹の筋力が低下すると、慢性的な便秘になることがあります。
便が肛門付近まで押し出されて行くためには、腸のぜん動運動が必要ですが、
筋力が極端に低下していると、本来であれば自然に起こるはずの腸のぜん動運動が起こらず、排便が困難な状態になることがあります。
また、日本人の8割はねじれ腸(大腸がねじれている)と言われており、便を押し出す腹筋や排便の姿勢が重要とされます。
そこで、慢性的な便秘にお悩みの方、特に腹筋が弱いお子さんや年配の方は、お腹に力が入りやすく、日本人の直腸の形合っている和式トイレで排便することをおすすめします。
洋式トイレの場合は、足元に踏み台を置き、和式トイレと同じように足とお尻を同じ高さにすると良いでしょう。
6.冷え症
季節を問わず手足の先が冷たい、お腹に触ってみるとなんとなく冷たいという方は、
冷え症が起こり、内臓にも冷えが起こって便秘になっていることが考えられます。
以下に心当たりがないか確認してみましょう。
- 冷たい食品をたくさん食べていないか?
- 冬でも薄着で過ごしていないか?
- お風呂の浴槽できちんと身体を温めているか?
これらについて心当たりがある方は、なるべく冷たい食べ物は食べない、身体を冷やす服装を避ける、お風呂の浴槽できちんと身体を温めるという点に注意し、少しでも冷え症を改善しましょう。