若いときには、こんなシミなかったのに…。
加齢とともに目立ってくるシミ、本当に嫌ですし、できることなら、早く改善してしまいたいですよね。
シミができる原因はさまざまですが、どのような原因であれ、できてしまったシミは早めのケアを行い、悪化させないようにしなければなりません。
それでは、シミのできる原因とメカニズム、そして、できてしまったシミの改善方法をご紹介します。
シミができる原因とメカニズム
女性ホルモン分泌量の減少
女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)に分類され、どちらも卵巣から分泌されています。
これらの女性ホルモンは、女性としての美しさを保つために欠かすことができないホルモンで、特にエストロゲンは皮下のコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成と関わりを持っています。
そして、これらの美容成分が十分に分泌されていれば、シミができてもスムーズなターンオーバーにより、短期間で薄くなると考えられています。
ところが、加齢とともに卵巣の機能が低下すると、エストロゲンの分泌量が急激に減り、これによって皮下の美容成分の生成がストップします。
こうなってしまうと、真皮層で作られる肌細胞の生成スピードが鈍り、お肌のターンオーバー周期にも乱れが生じ、できてしまったシミがいつまでも表皮に残るといった事態が起こりやすくなります。
「年齢を重ねても美肌の人は豆乳を飲んでいる」とテレビで紹介していたのを見たことがありますが、
エストロゲンと同じ働きをしてくれる「大豆イソフラボン」がアンチエイジングに効果があったと考えられます。
紫外線による経年変化
肌は紫外線によっても大きなダメージを受けます。
紫外線にはA波(UV-A)とB波(UV-B)があり、どちらもお肌にダメージを与えるという部分に於いては同様です。
ですが、これらの紫外線の性質はそれぞれに異なります。
紫外線B波は瞬間的にお肌に大きなダメージを与えて日焼けの状態を作り出しますが、真皮層にまで到達することはありません。
それに対して紫外線A波は、瞬間的にお肌に大きなダメージを与えることはありませんが、
ジワジワと真皮層にまで入り込み、コラーゲン細胞などに大きなダメージを与えるという特徴を持っています。
そして、知らず知らずのうちに紫外線A波を浴び続けてしまうと、ただでさえ美容成分が減少しているところへ持ってきて、
美容成分の細胞が壊されてしまうわけですから、当然、新しい細胞の生成スピードが遅れ、ターンオーバー周期が長くなることが考えられます。
紫外線A波を浴びたお肌は、真皮層への紫外線A波の侵入を防ぐためにメラニン色素を作り出します。
そして、皮下で生成されたメラニン色素は、すぐに表皮に押し上げられてくることがなく、長い年月をかけて表皮に押し上げられ、これがシミになって残ります。
特殊なシミ・肝斑ができる理由
加齢によるシミの大きな原因が、ホルモンバランスの崩れと紫外線によるものだということがわかりましたね。
そしてもうひとつ、特殊なシミとして肝斑が挙げられます。
肝斑もまた、紫外線の影響を受けて現れやすくなると考えられていますが、それよりも大きな原因になると考えられているのが、急激なホルモンバランスの乱れです。
肝斑は30代~40代の方に多くみられるシミで、経口避妊薬によるホルモンバランスの乱れや、妊娠による一時的なホルモンバランスの乱れが、その原因であると考えられています。
肝斑は、その他のシミと異なり、50代以降になると徐々に薄くなるといわれていますが、そういわれても、できてしまった以上、他のシミと同様に気になりますよね。
また、肝斑は他のシミとは異なり、頬骨や鼻の付け根を中心にして左右対称に現れるという特徴を持っています。
経口避妊薬を常飲している方や妊娠中にシミが目立ち始めたという方は、まず、そのシミが肝斑かどうか、よく見極める必要があります。
というのは、肝斑はその他のシミとは異なった方法でケアを行う必要があるからです。
それでは次に、できてしまったシミはどのようにケアして行けば薄くなるのかご紹介しましょう。
加齢によるシミの予防&改善方法
紫外線対策は一年中が基本!
まず、季節を問わず紫外線対策をきちんと行うことが大切です。
特に紫外線の放射量が多くなる5~8月の期間中には、日焼け止めクリームなどの化粧品を使用するほか、
帽子、日傘、手袋などの使用で、できる限り紫外線を直接浴びてしまわないように注意しましょう。
また、注意して頂きたいのは、お洗濯物を干す時間やゴミ出しの時間、近所へのお買い物の時間です。
これらのために必要な時間はほんの数分かもしれませんが、紫外線は思いのほかお肌への侵入スピードが速く、紫外線をキャッチした皮下のメラノサイトは、直ちにメラニン色素を作り出して、皮下組織を守るべく働き出します。
メラノサイトが紫外線を感知する時間には個人差がありますが、1分~3分以内にメラノサイトが活性化されることが多いといわれていますので、
ほんのわずかな時間であっても、紫外線を直接浴びる可能性があるときには、必ず紫外線対策を行っておきましょう。
ビタミンC誘導体配合の化粧品
これらに注意を払った上で、ビタミンC誘導体(APPSなど)やビタミンE誘導体(トコフェロール)が配合された化粧品でケアを行ってみて下さい。
ビタミンCやEには強い抗酸化作用がありますので、紫外線による細胞の酸化を防ぐ効果、そして、美白効果を期待することができます。
週1回のピーリングでターンオーバー正常化
また、ターンオーバーの遅れが気になるのであれば、週1回程度、ピーリングケアを行ってみましょう。
市販のピーリング剤にはフルーツ酸などの成分が配合されており、定期的にピーリングケアを行うことにより、徐々にターンオーバー周期が正常化され、シミの改善に役立ちます。
睡眠と食事
そして、忘れてはならないのが、1日6時間以上の睡眠と、食品からのビタミンCとEの摂取です。
睡眠時間には、脳下垂体前葉という部分から、細胞の生成を司る成長ホルモンが分泌されています。
睡眠時間が不足していなければ、成長ホルモンがスムーズに分泌されると考えられますが、極端な睡眠不足が慢性化してしまうと、成長ホルモンの分泌量が減り、ターンオーバー周期が整いません。
また、ビタミンC誘導体やビタミンE誘導体で外部からケアを行ったとしても、身体の内側から抗酸化力をつけて行かなければ、せっかくの化粧品成分も、その力を存分に発揮することができないでしょう。
なお、エストロゲンの減少が心配な方は、大豆イソフラボンを含む豆乳を飲むこともおすすめします。
加齢によるシミは、一夜にして改善されるものではありませんので、まずはご自身で行えるシミ改善のための努力を、コツコツと積み重ねてみましょう。
それでも改善を見込むことができない場合には、医療機関でのケミカルピーリングやレーザー治療、光治療などを受けてみるという方法があります。
肝斑治療はこの方法で!
経口避妊薬を常飲していて肝斑が気になる方は、ひとまず経口避妊薬の服用を中止するというのが、肝斑改善の近道です。
そして、妊娠していない方は、まずはトラネキサム酸内服薬とトラネキサム酸配合の美白化粧品でケアを開始しましょう。
現在妊娠中の方は、出産を終えるまで紫外線対策を行っておいて、出産後、授乳が終了したタイミングでトラネキサム酸内服薬や化粧品でのケアを開始しましょう。
なお、肝斑を医療機関のレーザーで治療する方法もありますが、レーザーの種類によっては肝斑を悪化させる可能性が考えられます。
これは、家庭用光美顔器であっても同様ですので、自己判断でケアをしてしまわないように注意しなければなりません。
多くの医療機関では、QスイッチYAGレーザーという種類のレーザー治療器で肝斑治療を行っています。
トラネキサム酸で肝斑改善効果が見られないのであれば、医療機関に相談して、適切な治療を受けてみるという方法がおすすめできますので、
これに該当する方は、美容外科クリニックでカウンセリングを受けてみて、治療を検討すると良いでしょう。