まだまだ若いと思っていたのに、ある日突然襲ってくる、それが更年期障害です。
更年期障害は、現れる方とそうでない方、症状が現れても軽い方と思い方などの個人差があります。
そして、重い症状が現れた方の場合では、生活に支障をきたすことも考えられ、このような方の場合では、専門的な治療を受ける必要性が出てきます。
では、更年期障害の症状と原因、対処法、見直すべき生活習慣などご紹介して行きましょう。
更年期障害とは?いつから始まるの?
そもそも、更年期とは何なのでしょうか?
更年期とは、閉経を迎える前後5年間(合計10年間)の時期を指し、40歳前後から50歳前後に迎える方が多いといわれています。
そして、この時期に差し掛かると、更年期以前には現れることがなかった様々な症状が現れてくることがあり、これを更年期障害と呼びます。
それではまず、更年期障害の症状についてご紹介します。
更年期障害の症状
ホットフラッシュ
典型的な更年期障害として現れやすいのが、ホットフラッシュです。
ホットフラッシュとは、運動をしたり、きびきびと家事をこなしたりしたわけではないのに、突然、顔がほてったり、全身から滝のような汗が流れたりする症状です。
この症状の厄介なところは、いつ起こるかわからないという部分にあり、バスや電車の中など、起こって欲しくない場所でいきなり起こることもあります。
倦怠感
過労ではないはずなのに、何をしてもすぐに疲れるようになり、倦怠感が長期間続くことがあります。
のぼせ、めまい
ホットフラッシュと同様に、一起こるかわからない症状で、突然頭がクラクラするように感じたり、ふらついたりすることがあります。
この症状が悪化すると、道で突然倒れたり、ものにつまづきやすくなるなど、生活に支障をきたすこともあります。
動悸・息切れ
日常生活の中で、特に運動をしたわけではないのに、突然心臓がドキドキしたり、息が切れたりすることがあります。
また、布団の中で寝る前や、朝、布団の中で目覚めたときなどにも同様の症状が起こることもあります。
むくみ
更年期に差しかかると、代謝機能が鈍ることがあり、それに伴って水分代謝が悪くなることがあります。
そしてこの状態が続くと、身体全体にむくみが起こり、急に体重が増えることがあります。
頭痛
なんとなく頭が重いと感じたり、片頭痛のような頭痛を感じることがあり、めまいやのぼせとともにこの症状が現れることもあります。
尿漏れや頻尿
お腹に力が入った瞬間、たとえば、くしゃみをした瞬間などに失禁する尿漏れや、トイレの間隔が短くなる頻尿の症状が現れることがあります。
抜け毛、薄毛(FAGA)
更年期に差しかかる年齢になると、急に抜け毛が増え、いつの間にか薄毛になっていることがあり、これをFAGA(女性男性型脱毛症)と呼びます。
更年期うつ
さらに、自律神経がバランスを崩すと精神面に悪影響が及ぶこともあり、更年期うつと呼ばれるうつ症状が現れることもあります。
自律神経失調症
更年期に自律神経にも影響が及び、自律神経失調症となってしまうことがあります。
では、更年期障害はどうしておこるのでしょう?
更年期障害の原因はエストロゲンの減少
ご存知の方も多いかもしれませんが、更年期障害は女性ホルモンの減少が原因でおこります。
私たちの体内では、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンが分泌されていますが、
これらの女性ホルモンが正常に分泌されるのは20代後半~30代前半まで。
その年齢を超えたあたりから、女性ホルモンは少しずつ分泌量が減少し、40歳にはピーク時の60%、45歳では30%、50歳では10%と激減していきます。
エストロゲンは、女性らしいふっくらとした体つきや髪の生成を司っていますので、分泌量が減ってしまうと、肌老化が起こったり、抜け毛や薄毛が起こったりします。
また、エストロゲンは代謝機能を正常な状態に保つ働きを持っているため、分泌量の減少とともに代謝機能が弱り、むくみや肥満を引き起こす原因になることがあります。
更年期障害を助長させる4つの生活習慣
では、更年期障害は誰もが避けて通れない道なのでしょうか?
実は、更年期障害は、「現れやすい人」と「そうでない人」がいます。
「現れやすい人」は、ストレスに対する感受性が強く、これがストレスホルモンの過剰分泌などによって、自律神経のバランスが崩れやすいのではないかと考えられています。
さらに、更年期障害の症状を助長させる生活習慣があることが分かっています。
睡眠不足
更年期障害が起こると、ただでさえ気分が沈み、不眠の状態になりやすいといわれています。
ですが、睡眠不足が続くと、細胞の代謝に必要な成長ホルモンの分泌量が減るだけではなく、
精神安定作用を持つセロトニンや、快適な睡眠に欠かすことができないメラトニンといったホルモンの分泌量も減ってしまいます。
この状態を改善しないままでいると、なおさら更年期の症状を悪化させることが考えられますので、夜にはなるべく早めに用事を済ませ、布団に入ることを心がけましょう。
どうしても寝付けないのであれば、一時的に睡眠導入剤を服用してみるというのもひとつの方法です。
オーバーワークによるストレス
そもそもオーバーワーク自体が問題ですが、心身ともに疲れ切ってしまうと、ストレスホルモンの分泌量が多くなるだけではなく、
知らず知らずのうちに血管が委縮して、血行不良が起こったり、更年期うつの症状が現れやすくなります。
更年期のだるさによさって家事をこなすスピードが遅くなったり、仕事のスピードが遅くなったりすると、周囲はイライラしてさらにあなたにストレスを与えることになるかもしれません。
そのようなときには、辛いかもしれませんが、周囲にご自身の身体の状態を打ち明け、理解を得ることが何よりも大切です。
喫煙
喫煙は、体内の活性酸素量を増やして肌老化を助長させる原因になるだけではなく、エストロゲンの分泌量を減らすといわれています。
つまり、更年期障害を悪化させる可能性があるということです。
今すぐの禁煙が難しいのであれば、少しずつ喫煙本数を減らす工夫を行ってみましょう。
飲酒
適度な飲酒であっても、飲酒をすると血行が良くなりますので、ホットフラッシュの症状を悪化させることが考えられます。
飲酒の習慣がある方は、ホットフラッシュが起こった日には飲酒を控える工夫を行ってみましょう。
更年期障害かな?と思ったら
もしあなたが「更年期障害かな?」と思ったら、嫌かもしれませんし、ご自身で認めたくないかもしれませんが、
更年期障害の改善は周囲の協力も必要ですので、隠さずにあなたの症状を周囲に伝えておきましょう。
その上で、婦人科で適切な治療を受けて下さい。
また、更年期うつの症状が現れているのであれば、婦人科での対応が難しくなることも考えられますので、心療内科でカウンセリングを受けて、必要に応じた治療を受けてみましょう。
そして、薄毛が起こったのであれば、婦人科でホルモン療法を受けてみる、美容外科クリニックで薄毛治療を受けてみるなどの方法で、改善することが可能です。
更年期障害は、女性であれば誰でも起こる可能性化ある症状ですし、更年期が過ぎてしまえば、元の健康を取り戻すことだって可能です。
更年期障害かな?と思ったら、まずはご家族をはじめとする周囲の方に症状を伝え、専門医による治療を受けて、上手に乗り切ることが大切です。