30代も後半に差し掛かると、シミやしわの問題だけではなく、薄毛の問題が気になり始める方が増えてきます。
女性の薄毛は、ダイエットなどによる栄養不足が原因となって起こることがありますが、このような薄毛の場合では、栄養状態が戻れば自然に改善されて行きます。
ですが、更年期障害と関係のあるFAGAとなると、また話は別です。
今回は、FAGAとは何か?原因や対処法についてご紹介します。
FAGAとは?AGAとはどう違うの?
みなさんは、FAGAやAGAという言葉を聞いたことがありますか?
最近、AGAについてはテレビCMでよく聞くようになりましたが、
AGA・・・男性型脱毛症
FAGA・・・女性男性型脱毛症
を表す言葉です。
ともに脱毛症を意味するのですが、AGAは男性の脱毛症、
FAGAは、男性のAGAの頭に女性をあらわす「F」をプラスした女性の脱毛症を意味します。
ではまず、AGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性男性型脱毛症)の原因について見ていきましょう。
AGAの原因は遺伝的要素が強い
AGA(男性型脱毛症)は遺伝的要素が強いです。
AGAは正常な男性ホルモン(テストステロン)が、5αリダクターゼという酵素によって、
悪玉男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)に変換されることによって起こります。
つまり、体内の5αリダクターゼの生産量が多いという体質を遺伝した人の方が、AGAが起こりやすいのです。
FAGAの原因は遺伝25%、その他75%
では、FAGA(女性男性型脱毛症)はどのような部分が遺伝すると起こりやすいのでしょうか?
それは、女性ホルモンの分泌量が少ないという体質の遺伝です。
そして、その確率は25%。
必ず遺伝するとは言えない数字ですが、母親や祖母にFAGAと思われる症状の人がいるのなら、あなたにも同様の症状が現れる可能性があると考えられます。
また、AGAが頭頂部や額の生え際から薄くなるという特徴があるのに対し、FAGAは頭部全体の髪が少しずつ薄くなるという特徴があります。
さらに、AGAの場合では、悪玉男性ホルモンが生成されやすい体質の遺伝がその直接原因になるのに対し、
FAGAの原因は、遺伝ではないその他の原因が75%もあるという点で、大きく異なるのです。
では、遺伝でないとするのなら、なにが薄毛を引き起こす原因になっているのでしょうか?
FAGAの原因
では、FAGA(女性男性型脱毛症)の遺伝でないその他の原因には、どんなことがあるのでしょう。
加齢
まず一番のFAGAの原因は、女性ホルモン エストロゲンの減少です。
女性は年齢を重ねると、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少することはみなさんご承知のことと思います。
エストロゲンには、髪の成分であるケラチンを生成する働きがありますので、
エストロゲンの分泌量が減ると自動的に髪の生成スピードが遅れ、FAGAを引き起こす原因になるのです。
エストロゲンの減少は、女性の更年期障害にも大きくかかわっているので、FAGAは更年期障害の症状の一つとされることも多いです。
(もともと女性ホルモンの分泌量が少ない方の場合では、若年からFAGAの症状が現れてくることもあります。)
紫外線
紫外線もFAGAの大敵です。
お肌が直接紫外線を浴びると、皮下の活性酸素が増えて肌老化を呼び込むのですが、
この現象は頭皮にも起こり、頭皮が無防備な状態のままで紫外線を浴びてしまうと、抜け毛が起こりやすくなります。
さらに、紫外線は頭皮の乾燥の原因となりますので、これもまた、抜け毛を増やす原因になります。
シャンプーの種類
強いシャンプーを使い続けることも、頭皮には良くありません。
強い洗浄成分が配合されているシャンプーを使い続けていると、頭皮の皮脂が慢性的に不足することになり、これによって皮脂の分泌量が増えます。
適度な皮脂は頭皮にとって必要ですが、皮脂分泌が増えすぎてしまうと、
皮脂と汚れが毛穴に詰まりやすい状態となり、頭皮環境が悪化、抜け毛の原因になるのです。
なんとなく頭皮の皮脂分泌が多くなったな…と感じたときには、アミノ酸系シャンプーなど、なるべく弱い洗浄成分を配合したシャンプーに切り替えてみましょう。
また、シャンプーの洗い流し残しの成分によって頭皮環境が悪化、抜け毛が起こることもあります。
シャンプーを洗い流す際には、必ずシャンプーの成分を完全に洗い流すことを心がけましょう。
頭皮のトラブル
頭皮湿疹など、痒みが伴う頭皮のトラブルが起こって掻きむしってしまうと、その部分に抜け毛が起こることがあります。
頭皮が痒い、できものができているなど、頭皮に何らかの異常が現れた場合には、ひとまず皮膚科で治療を受け、頭皮環境を改善しておきましよう。
紛らわしい薄毛には要注意!
FAGAとは切り離して考える必要がある薄毛には、以下の種類があります。
分娩後脱毛症
妊娠すると、子宮内膜を厚くする目的でプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えます。すると、プロゲステロンがエストロゲンの働きを抑え、体毛が濃くなることがあります。
そしてそれに伴い、髪が薄くなることがあります。
この状態は、妊娠によって一時的にホルモンバランスが崩れることが原因ですので、FAGAとは切り離して考えておきましょう。
けん引性脱毛症
髪がギュッと引っ張られるポニーテールやおだんごスタイルをしている方に見られることがあるのが、けん引性脱毛症です。
これは、髪が引っ張られ続けることによって、そのストレスに耐えられなくなった髪が抜けて行く状態です。
この場合では、ヘアスタイルを変えることにより、高い確率で脱毛症を改善することができますので、やはりFAGAとは切り離して考えておく必要があります。
ひこう性脱毛症
シャンプーやトリートメント剤による頭皮環境の悪化や、皮脂の過剰分泌などで毛穴が塞がれることによって起こる脱毛症です。
フケの量が増えてきた、あるいは、脂っぽいフケが気になるようになってきたという方は、FAGAよりも先にひこう性脱毛症を疑う必要があります。
ひこう性脱毛症は皮膚科の治療で改善することができますので、心当たりがある方は、まずは皮膚科で診察を受け、適切な治療を受けることが先決です。
自己免疫疾患
シェーグレン症候群やバセドウ病などの自己免疫疾患が、抜け毛を誘発することがあります。
口や目が乾く、関節が痛むという症状が長く続いているのであればシェーングレン症候群、なんとなく首が太くなった気がする、体重の急激な減少、多汗、動悸息切れなどの症状が現れているのであればバセドウ病を疑う必要があります。
このような症状が現れたのであれば、なにはともあれ内科で検査を受け、現在の身体の状態を改善しておくことが大切です。
FAGAは改善できます!
様々な原因によって起こったFAGAは、育毛剤の使用または医療機関の治療によって改善することが可能です。
ここで注意して頂きたいのは、ドラッグストアなどで販売されている育毛剤は、化粧品、医薬部外品、第1種医薬品に分類されているということです。
この中で、FAGAの改善に役立つのは、医薬部外品と第1種医薬品ですので、間違って化粧品に分類される育毛剤を購入してしまわないように注意しましょう。
また、市販の育毛剤でFAGAの改善効果を得ることができないのであれば、美容外科クリニックなどで治療を受けてみるという方法がおすすめできます。
医療機関には、パントガール内服薬による治療のほか、育毛メソセラピー、HARG療法などの治療法が用意されています。
医療機関での薄毛治療は自費診療となり、治療費用は決して安いとはいえません。
ですが、医療機関での治療には、個々の身体の状態に合った方法を選択することができるというメリットがあります。
FAGAかな?と思ったら、遺伝の可能性を考えてみるとともに、日常生活の中の問題点を取り除いて行くことが大切です。
ですが、それだけでは改善することが難しいFAGAもありますので、自力でFAGAの改善が難しいと感じたのであれば、
ひとまず美容外科クリニックなどの医療機関で、カウンセリングを受け、必要に応じて薄毛治療を受けてみると良いでしょう。